Second Coming
The Stone Roses,1994
 ファーストアルバムから5年の歳月を経て発表されたThe Stone Rosesのセカンドアルバム「Second Coming」は、その年月が示すとおり、まさしく難産の末に生み出されたアルバムである。
 そしてその年月は、作曲や収録と言ったクリエイティブな行程にではなく、メンバーの脱退や信頼を置いていたマネージャーの背信行為(メンバーのギャランティーを横領していた)など、言わばバンド内の内紛に、その大半が費やされた。
 また、このアルバムの制作にあたり、ボーカルのイアン・ブラウンは音楽的な方向性の違いを訴えるギタリストのジョン・スクワイアをバンドに引き止める為、自身が考える音楽的表現を犠牲にしてまでこのギタリストの意向をアルバムに反映させたと言われており、従って本作は、ファーストアルバム「The Stone Roses」でイアンが表現した開放的で陶然とした世界観よりはむしろ、ジョンの嗜好が前面に打ち出された、70年代ハードロック色の強い仕上がりとなっている。
 このような迷走を経て発表された本作は、当時のイギリスの人々、特に、イアンの音楽性に次世代の新たな音楽の潮流を期待していた人たちの支持を得られず、(あくまで前作と較べて、と言う前置きはつくものの)評価は低いものとなってしまった。
 しかしながら、ロックとダンスミュージックの融合が珍しくなくなった現在において、当時の時代背景や先入観を排除して本作に耳を傾ける時、時代を超えてこのアルバムの素晴らしさが伝わってくる。
 特に、J SPORTSでのワールドカップ南米予選の放送告知でも使用されていた「Love Spreads」は、イアンとジョンという2人の天才が、The Stone Rosesと言うバンドの歴史上において、文字通り最期に残した傑作である。